カルストとは?
カルスト地形とは「石灰岩地域で、雨水・地下水などの溶食によって生じた特殊な地形」(デジタル大辞泉)のこと。高校の地理で勉強したのを覚えてるという人も多いのではないだろうか?日本三大カルストと呼ばれるのは、国の特別天然記念物にも指定されている山口県の秋吉台、福岡県の平尾台、そして高知県と愛媛県にまたがる四国カルストである。


写真のように、草原のような風景の中に石灰岩の岩がゴロゴロと散らばっているのがカルスト地形の特徴である。
筆者は山口県の秋吉台にも行ったことがあるが、夏に行くのであれば、だんぜん四国カルストがおすすめである。なぜなら四国カルストは標高1000メートルを超える高地にあるため涼しいのだ!私が行ったのは8月の最後の週だったのだが、朝夕は半袖では寒いくらいであった。近年、日本の夏は猛暑続きであるが、四国カルストは避暑地としてもおすすめの場所だ。
アクセス
高知市からのアクセスは車のみ。残念ながら路線バスなどの公共交通機関はない。車を持っていない人はレンタカーを借りるか、旅行会社などが企画しているバスツアーなどを利用するしかない。秘境と呼ばれる高知県の中でも最もアクセスしにくい場所といえるだろう。同じ高知県内なのに、高速道路を使っても2時間かかる。
高知市からグーグルマップやカーナビで行こうとすると、上のように国道197号線を西から東に進み、津野町北川で右折し国道439号線を通るルートが案内される。筆者も素直にカーナビに従ってこのルートを通った。途中、国道439号線を左折し四国カルストへ続く県道304上郷梼原線を通るのだが、この道がかなりの悪路であった。すれ違いもできないくらい狭い山道なうえ、急カーブの連続で、対向車が来るたびに肝を冷やしながらなんとか通り抜けるという状況が続いた。最短ルートなのだろうが、運転に自信がない人にはおすすめできないルートである。特に、ゴールデンウィークなどは渋滞が発生し身動きがとれないといったことにもなりかねないくらいの狭い道である。
そこで、もっといいルートがないのか調べてみたところ、津野町の観光案内サイトで、「林道東津野城川線」という林道を通るルートが案内されていた。グーグルマップでは、「幹線林道 東津野・城川線(東)」と表記されている。
国道197号線から国道439号線方面に右折するのではなく、しばらく東に直進しトンネルを二つ抜けた先、「山の駅津野町」というJAの直売所の少し先を右折すると、片側一車線ずつある大きめの林道を通って四国カルストまで行くことができる。筆者も帰りはこの林道を走ったのだが、こちらの道のほうが断然おすすめである。
姫鶴平キャンプ場
高知市を出発したのはお昼過ぎ。出発が遅くなってしまったので、今日はキャンプ場で景色を見ながらのんびりしようという計画である。目指すのは「姫鶴平キャンプ場」。標高1400メートルの場所にある四国カルストの雄大な景色が望めるキャンプ場だ。キャンプ場は3つのスペースに分かれていてかなり広い。そのうちの一つは芝生サイトで車の乗り入れは不可(すぐそばに駐車場有り)、残りの二つは車の乗り入れができる土のグラウンドで、どのサイトからも、場所を選べば景色も楽しめる。予約はできず区画も決まっていないため、到着順に好きな場所にテントを張るスタイルである。景色が良い場所にテントを設営したければ、早めに行く必要があるだろう。

筆者が到着したのは午後5時前。景色のいい場所にテントを張ることはできなかったが、キャンプ場自体が広いため、それぞれのスペースはかなり広くとることができる。お隣さんとも離れているため、周りをきにせずにのんびりできるのがいい。テントを設営し終わり、道の反対側にある姫鶴荘に受付に向かう。利用料金は1張り1泊500円。デイキャンプや車中泊も500円だ。キャンプ場のウェブサイトを見ると、チェックインやチェックアウトの縛りはなく、姫鶴荘の営業時間内に到着できなかった場合でも夜間受付ボックスがあるとのこと。姫鶴荘には食堂や売店もあり、おみやげやパンなどのちょっとした食品も売られていた。ちなみにトイレはこの姫鶴荘の裏手にしかないが、男女別の水洗トイレがある。グラウンドサイトからはかなり距離があり、夜間などは足元に注意していく必要がある。もう一つの注意点としては、使用後の炭も含めてすべてのゴミは持ち帰らなければいけない。

受付を済ませ、景色を楽しみながらのんびりしようと思ったのだが、急に霧が出てきて、あっという間に、ほかのキャンパーたちが見えなくなるほどの深い霧に覆われてしまった。日が暮れると、テントの明かりだけが霧の中に浮かび上がり幻想的な雰囲気を映し出していた。小雨も降りだしてきたため、夕飯を軽く済ませ早く寝ることにする。寝る前にソロキャンプをしていたお隣さんと少し話したのだが、彼曰く「夜中には雨も上がり、星空が見えるはず」とのこと。彼の言葉を信じ、夜中に一度起きるために12時にアラームをセットし就寝することにした。

11時ごろ、アラームが鳴る前に自然と目が覚め、テントの中から外を覗いてみると、そこには満点の星空が輝いていた。天の川も見え、人生の中で一二を争うくらいの星空であった。


翌朝、5時過ぎに起きると、眼下には日の出前の静寂のなかに見事な雲海が広がっていた。昨日は霧のせいで景色があまり分からなかったが、姫鶴平キャンプ場は最高にロケ―ションの良いキャンプ場である。
サイクリング
四国カルストではサイクリングも楽しめる。筆者は自分の自転車を車に載せてきたが、姫鶴荘の横にはカルストレンタサイクルステーションがあり、1時間1200円でクロスバイクをレンタルできる。また、E-BIKE(スポーツ型電動アシスト付き自転車)もレンタルすることができ(こちらは1時間2000円)、体力に自信のない人でも気軽にサイクリングを楽しむことができる。高原の景色の中を自転車で駆け抜ける爽快感は車では味わえない。車と違い、好きなところで止まって写真を撮ったり、放牧されている牛を近くで見たりと、より自然と一体になれるのがサイクリングの利点である。

ハイキング
サイクリング途中に見つけた看板に書かれていた巨木を見に「ケヤキ平駐車場」にやってきた。ここから片道2㎞のハイキングコースを歩くと、樹齢600年、高さ30メートルもあるトチの木を拝むことができる。アップダウンはあまりないのだが、足元が悪いためサンダルなどでは行かないほうがいいだろう。


おわりに
四国カルストを縦断する県道383号線は冬季通行止めになる。冬は星空が一番きれいに見える季節。冬に四国カルストで星空観察をしてみたいという方には、「星ふるヴィレッジTENGU」に宿泊するのがおすすめだ。この宿までの道は冬季も通行止めにならない。ホテルには天文台が設置されているほか、展望デッキからは満天の星空を楽しむことができる。また、デッキ付きの客室や天井がガラス張りになった客室もあり、寒い冬でもお部屋から天体観測できるのはありがたい。https://village-tengu.com/

今回はじめて四国カルストを訪れたが、キャンプ、星空観察、サイクリング、ハイキングと、一泊二日とは思えないほど充実した旅であった。真夏とは思えない爽やかな風が吹き抜ける四国カルストに、ぜひ一度訪れてみてはいかがだろうか。
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