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64.生粋の種子島人が高知県で暮らしてみた

目次

種子島人、島を出て高知へ行く

突然ですが、「種子島」と聞いてあなたは何を思い浮かべますか?

そう聞いたとき、だいたい3パターンの反応が返ってくる。

1.「あの鉄砲伝来の!!」

はい、そうです。鉄砲伝来の島です。でも私は鉄砲を撃ったことも触ったこともありません。むしろ“鉄砲”より“サトウキビ”、”サトウキビ”より”安納芋”の方がよっぽど身近な存在です。


2.「ロケット飛んでるところでしょ?」。

これも正解。しかし、ロケットの打ち上げなんて、年に数回。

島民が毎日ロケットの発射のために空を見上げてるわけではありません。

確かに「宇宙に一番近い島」とも称され、宇宙開発の最前線を肌で感じることができます。

また、打ち上げの日は学校の授業を中断して、全校生徒で屋上へ行き、「5・4・3・2・1」とカウントダウンしながら発射を見届けるのも島の学生の特権だと思います。


3.「海、めっちゃきれいなんでしょ?」。

これは大正解!海は本当にきれい。でもあまりに近すぎて、地元にいた頃はそのありがたみに気づきませんでした。

上の写真:種子島で撮った海の写真


外から見たら“鉄砲とロケットの島”だけど、実際の種子島は“潮風と人情とちょっとした不便”が魅力の島。バスは一日数本、コンビニは車で20分。でも夜空には満点の星。そんな“静かな贅沢”が、私のふるさと「種子島」です。

そんなのんびりした島から、大学進学をきっかけに高知へやってきた私。

最初は「南国同士、似たようなもんだろう」と思っていました。

ところがどっこい、高知は予想以上に“個性派”。

川の多さ、よさこいの熱気、そしてカツオのたたきへの情熱 アンパンマンと愉快な仲間たち——どれを取っても圧倒されっぱなしです。

「高知トラベル」では、種子島出身の私が高知で感じたカルチャーショック(?)や、二つの“南国”の違い、そしてどちらの土地にもある魅力について、3つ語っていこうと思います。

1.種子島人、魚に驚く

高知県の名物魚といえば、「カツオ」

各家庭の食卓、スーパーの鮮魚コーナー、居酒屋のメニュー、高知県の至る所で「カツオのたたき」が鎮座している。

都道府県別のカツオの消費量においても、高知県(高知市)は堂々の第1位!!(※2 位と2倍以上の差をつけて)

もはや、高知県民の体はカツオで構成されているのではないかと疑うレベル。

しかしながら、高知県のカツオのたたきは、県民が虜になるのも納得の美味さである。

藁焼きによる香ばしい香りが口の中で爆発し、深みのある味わいが一気に押し寄せる。他県ではポン酢や醬油をつけて食べる印象が強いが、高知では塩やタレなど食べ方も多種多様で面白い。私自身、カツオはあまり得意ではないが、高知のカツオは飲むようにジャンジャン食べることができた。改めて言わせてもらうが、高知県の至る所で「カツオのたたき」を食べれるので、食べたことがない人は是非食べてほしい!

対して種子島の名物魚といえば、「トビウオ」である。(画像は各自で確認していただけるとありがたい)

種子島屋久島地方で盛んに漁がおこなわれ、漁獲量はなんと日本一!鹿児島県選定の「かごしま旬の魚」にも選ばれており、種子島の至る場所で売られている。また、鹿児島本土と種子島屋久島を結ぶジェットフォイル高速船の名称も、種子島のトビウオの方言である「トッピー」の名がつけられ、地元民に愛されている魚だとわかる。

ところで、その名前の由来を知っているだろうか?

それは、泳ぎの速い天敵マグロなどから逃げるために泳ぐ姿が飛ぶようだからである。尾びれで水面を叩いて飛び上がり、胸ブレを広げて数百メートル飛ぶこともあるらしい。まさに「海上を飛ぶアスリート魚!」である。

では味はどうなのか?ーそりゃ美味しいに決まってんだろ!!

身は透明で美しく引き締まり、大型のものは刺身にすると弾力のある歯ごたえが絶品!一夜干しやすり身にしても美味しい。現地の漁師の方々は、姿揚げをおすすめしているが、はじめて食べる人にはビジュアルの癖が強く、ハードルが高いと思うので、私はおすすめしない。しかしながら、どのように調理しても美味しいので是非食べていただきたい。

食ってみな飛ぶぞ!!

2.種子島人、祭りに驚く

高知といえばカツオ、そしてもうひとつ外せないのが「よさこい」だ。

最初は「なんかすごいお祭りらしい」くらいの認識だった。ところが実際に見に行ってみると、想像を軽く三回転半くらい超えてきた。街中が音楽と踊りで埋め尽くされ、鳴子をカチャカチャ鳴らす人たちのテンションがとにかく高い。もはや高知県民の“魂のフェス”である。
踊り子たちは、老若男女問わず色鮮やかな衣装を身にまとい、チームごとにオリジナルの曲や振り付けで競い合う。観客も一緒になって手を振り、声を出して盛り上がるので、思わず体が動いてしまう。気づけば私も100均で鳴子を買っていた。踊り子として参加していないのに…勢いって怖い。

実際に見て分かったことは、よさこいはただの伝統行事じゃないということ。よさこい祭りは、高知の「楽しいことは全力で!」という県民性がギュッと詰まったお祭りだ。まだ見たことに人や踊り子として参加したい人はぜひ一度、あのエネルギーの渦に飛び込んでみてほしい。きっと次の日、筋肉痛と一緒に「また来年も参加したい!」という気持ちが残るはずだ。

高知の「よさこい祭り」といえば日本屈指の熱狂イベント。でも、種子島だって負けちゃいません。

その名も「よいらーいき祭り」! まず名前が元気すぎる。「よいらーいき!」は島の方言で「みんなで一緒に!」の意味。言った瞬間、島民のテンションが3段階くらい上がる魔法の言葉です。
祭り当日は、島中がひとつのステージ。じい(おじいさん)も、ばあ(おばあさん)も子どもも、みんな笑顔で「よいらーいき音頭」を踊り出す。

普段はのんびりしてる島の人たちも、この日ばかりはエネルギー全開。よいらーいき祭りは、そんな“陽気で団結力のある島民の人柄を表したお祭りである。
よさこいが鳴子なら、種子島は掛け声で勝負。「よいらーいき!」の一言に込められた勢いと笑顔は、パワー全開で、高知にも負けない輝きを放っている。

引用元:トッピ―(トビウオ)|鹿児島県|全国のプライドフィッシュ|プライドフィッシュ

3.種子島人、アンパンマンの多さに驚く

高知に来て驚いたのは――アンパンマンの多さ!

まず岡山から高知に来るまでに乗った、JR四国の列車や駅に、『それいけ!アンパンマン』に登場する愉快な仲間たちがデザインされていて本当に可愛い。(…だが、窓際の席に座ると停車するたびに列車の前で写真撮影する親子と目が合って気まずいのでおすすめしない。)高知の街中の至る所に、にこにこ顔のアンパンマンと仲間たちの像がある。まるで「ようこそ高知へ!」とでも言っているみたいだ。調べてみると、アンパンマンの作者・やなせたかしさんが高知出身だとか。なるほど、これなら納得。高知の人にとってアンパンマンは、まさに“地元のヒーロー”であり、県民的アニメなのかもしれない。香美市立やなせたかし記念館アンパンマンミュージアムに行けば、やなせたかしさんの絵本原画などを通して、『アンパンマン』の世界観を体験することができるので、アンパンマンファンの皆さんは是非足を運んでみてほしい!!


一方、私のふるさと、種子島で有名なアニメは『秒速5センチメートル』。

新海誠監督が手掛けたアニメーション映画で、最近実写映画も公開されたことで話題を呼んでいる。複雑で繊細な青春アニメで、アンパンマンとは正反対のしっとりした世界観。アニメや実写に登場する場所や景色を求めて、聖地巡礼に来る観光客の方も多い。(私の母校もロケ地の一つだったのはちょっとした自慢である。)

どちらも地域全体でアニメを推しているという共通点があって、アニメ好きとしては嬉しいものだ。明るく元気な高知と、静かでロマンチックな種子島。アニメを通して見ると、土地の性格まで見えてくる気がする。

上の写真:JR四国のアンパンマン列車の写真。

まとめ

種子島から高知に来るまで、高速船に乗り、新幹線と特急を乗り継いで早くても約8時間かかる。だから種子島を出るとき、私はまるでロケットの打ち上げを見送る気分であった。

期待と不安を積み込んだ心のロケットが、見慣れた島を離れ、高知という未知の大気圏へと飛び立つかのような。

正直、最初の頃は「島に帰りたい」と何度も思った。スーパーの鮮魚コーナーにトビウオはないし、方言も通じない。

──けれど、高知での暮らしが始まると、そこには想像以上の魅力があった。人の温かさ、祭りの熱気、そしてどこか懐かしい海の匂い。種子島と高知、違うようでどこか似ている二つの土地に出会い、私は少しずつ新しい「ふるさと」を創り出している。
今回「高知トラベル」にて紹介できたのはほんの一部だが、どちらの土地にも語りきれない魅力がまだまだたくさんある。離れて気づいた種子島の良さと、新しく出会った高知の面白さ。その両方が、今の私を形づくっているのだと感じる。これからも魅力を見つけながら、自分なりのペースで高地での生活を楽しんでいきたい。そして、私と同じように離れた土地から高知へと来た同士の人々にも、自分の故郷への愛を忘れず、高知の生活を思う存分楽しんでいただけたらと思う。

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